看護師が考える日本の「安楽死」について

こんにちは。パエリア王子ことパエリア王子です。

 

今回は少し今までとテイストが違いますが、「安楽死」について考えていこうと思います。

これは自分の「生」や「死」についてのことなので、とても難しいことだと思います。

しかし、人生の中で1度は考えなければならないことかもしれません。

 

まず、安楽死とは

「人または動物に苦痛を与えずに死に至らせること」

引用:wikipedia

と定義されています。

具体的には末期がんの患者等に、人為的に生命を脅かす行為をすること、となると思います。

現在日本では安楽死は認められていません。しかし、過去に東海大学病院安楽死事件など、実際に行われてしまい、事件になったこともあります。

スイスやオランダなど認められている国もあり、実際に行われている行為でもあります。

 

日本人の7割以上は安楽死に賛成しているとの調査もありますが、なぜ日本では安楽死は認められないのでしょうか。

安楽死が認められない理由はいくつもあると思いますが、僕が安楽死が認められないと考える理由は大きく分けて3つあると思います。

これは、もし日本で安楽死が認められたとしても、今後も考え続けていかなければならないものだと思います。

 

1、誰のために行うのかを考えなければいけない

安楽死は基本的には「本人の苦痛から解放されるため」に行われるものです。

本人が苦痛から解放されたいと訴えることができ、きちんと承諾を得ることができれば一番いいでしょう。

しかし、本人はその苦痛さえも訴えることができない状態であることも多いです。

そうなると本人がむかし安楽死を望んでいたという過去があったとしても、現在安楽死を望んでいるかどうかわかりません。

そうなると安楽死を決めることができるのは残された家族しかいません。

家族はその状況ではパニックになっており冷静な判断ができないでしょう。

そして「苦しんでいる状況を見るのがつらい」または「少しでもいいから長く生きていてほしい」と治療方針を決めることも多いです。

そこにエゴはないでしょうか。もちろんエゴがいけないという話でもありませんし、家族が決めるしかないので、その決定が悪いというわけではありません。むしろ、その判断も懸命だと思います。

でも可能であれば本人の意思を尊重できるような考えのもと、治療方針を考えてほしいと思います。

また、それができるようになれば安楽死が認められてもよいと思います。

 

2、行ってしまうと戻すことができない

人生は何度でもやり直すことができるといいますが、死んでしまえば生き返ることはできません。

これは当たり前のことなのですが、実際にそうなってみないと実感がわかないものです。

どんな治療を行っても、本人や家族は後悔することがあると思います。

「死」についてだと、なおさらです。

安楽死を行った後に家族は必ず「本当にそれで本人は幸せだったのだろうか」と考えることがあるでしょう。

どんなに考えて、相談しても行ったとしても後悔することはあります。

しかし、その取り戻せない命についてよく考え、相談したことにも残された人にとっては価値があります。

安楽死が辛いことから解放されることだけととらえるのではなく、その後についてもみんなで考えていかなければ日本で安楽死が認められる日は遠いかもしれません。

 

3、行う人(医師)にも大きなストレスがかかる

これはあまり安楽死の話の時に出ないことかもしれません。

しかし、安楽死を行う人も、また人なわけです。

基本的には治療する(病気を治す)医師が、命を奪う行為をするのです。

いくら本人の苦痛を取り除くとはいえ、安楽死を行うことのストレスは計り知れません。

もし、日常的に安楽死をするようなことがあれば、「自分はなんのためにこんなことを行っているのだろう」と思うこともあるでしょう。

安楽死について積極的に賛成している人でさえ、実際に人の命を奪うということですから簡単ではありません。

医師が不足している日本社会の中で医師の新たなストレス対処を考えていかなければならないかもしれません。

 

個人的な意見としては「安楽死については賛成」です。

しかし、実際に安楽死を行うために法の整備が必要なのは当たり前ですが、死ぬよりももっと前、病気になる前から自分がどのように死ぬことが幸せなのか、家族がどのような死を望むのかを考え、相談していく必要があると考えます。

しかし、医療職の方であればそのようなことを考える機会があるかもしれませんが、普通の人はなかなか考える機会がないと思います。

もし、親戚や友人で亡くなる方、そのようなことを考えなければいけないときに、その人を思うことと一緒に自分の死についても考えてみてはいかがでしょうか。

 

それでは、また次回。

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